ごめん。ぜんぶ、恋だった。
3 いらいら弥立つ








思えばずいぶんと堪えてきたほうだと思う。

無鉄砲なことをする年齢じゃない。ちゃんと頭は現実を理解している。

でも、いつかぷつりと切れるんじゃないかって。ずっと我慢してきたものに限界がくるんじゃないかと思ってる。

早く、早く誰か俺を止めろよ。


気づけば5月も半ばになっていた。

「ねえ、お兄ちゃん。昨日ドライヤー出しっぱなしだったよ?私が片付けたんだから気をつけてよね!」

「んー」

仁菜に対してよそよそしい態度を取ってた俺もGWを挟んだことで少しだけ頭が冷えていた。

仁菜のことを避けていたのは苛立ちからじゃない。


――『お兄ちゃんがいなくたって大丈夫なんだから!』

そりゃ、そうだ。

仁菜はもう16歳だし、なにをするにも兄貴から監視されていたんじゃ息が詰まるのは当然のこと。

過保護すぎるなんて、オブラートに言葉を包んでくれたほうだ。最悪、気持ち悪いと言われたって仕方がない。

いつか言われることは覚悟していた。

なのに、思った以上に落ち込んでいる自分自身に嫌気がしてくる。

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