平然と嘘

土曜日、純也さんは、
あまり体調が良くなくて
眠っていることが
多かった。

先生から宣告された日時は
迫っている。

多分、体もかなり痛みが
あると思うが
純也さんは、言わない。
こちらから、聞けば
少し‥‥だけ‥‥とか
まだ‥‥大丈夫‥‥とか、答える。

私だから、言いづらいのでは
ないかと思い
師長にも相談をした。

師長は、訊ねてくれたようで
「あなたが、良いそうよ。
良く気づいてくれて
ありがたいって、言われてました。
最後まで、きちんと見届けないと
あなたも辛いでしょ?
いくら他のスタッフが
優れていると思っても
自分で診たいでしょ?
あなたは、いつも、誰にでも
患者さんに寄り添っている
看護師ですよ。
その事は、
私が一番良くわかっています。
後悔しないようになさい。」
と、言ってもらえた。

私は、師長の言葉を
胸に置いて
純也さんに向かう事にした。
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