お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 そうして心が決まり意気込んでいた真帆だけれど、いざ藤堂不動産の本社ビルの前に立つとやはり恐れる気持ちを抑えられなくなりそうだ。
 茂木の事務所は、忙しかったけれど和気あいあいとして暖かい場所だった。今度の職場はそうはいかないだろうということくらいは真帆にもわかる。けれどもはや後戻りはできなかった。
 真帆は深呼吸を一つして暖かい春の空気を胸いっぱいに吸い込むと、低いパンプスを鳴らして本社ビルへ入って行った。
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