「あなたが、入江真帆さんですか…?」

 出社した真帆を待っていたのは、副社長秘書室室長だという一条という男性だった。かっこいいというよりもどこか女性的な美しさを感じる彼はシルバーの眼鏡を光らせてさっきからなぜか少し意外そうな表情で観察するように真帆を見ている。
 副社長室はビルの最上階にあり秘書室はその隣だった。
 真帆が人事の担当に案内されて入室すると一条がいてまずはミーティングルームで簡単な面談をということになったのだ。そうして机を挟んで向かい合わせに座ったはいいけれど、彼は名前を確認したきり少々困惑したように真帆を見つめている。真帆はカバンから白い封筒を出して彼に差し出した。

「あ、あの…これ、履歴書です。必要ないと言われましたが念のため持ってきました」