夢だらけのJKから腫瘍が見つかり入院生活へ

耳下腺腫瘍って?

「お母さーん!ねえ、私の顎の下何か変なんだけど?」


私は洗面所の鏡の前からお母さんに呼びかけた。朝の洗顔後。顔を少しでも小さく見せる為のマッサージをする為に、顎の下のリンパを流していた時、何か違和感を感じた。

 私は蒼井乃蒼(あおいのあ)この春、希望の高校に入学したの。中学で演劇部の部長をしていた私にとって、演劇で有名なこの高校は夢の場所だった。

 入部したのはいいのだが、中学とは違い部員数が多いので、舞台に立つ為には激しい競争率を勝ち取らなければならない。厳しい基礎運動、発声練習をこなして上手くできないと役は貰えない。

 毎朝グラウンドの外周を走り、柔軟をし筋肉トレーニングをする。文化部なのに、運動部並みの運動量だ。

 特に苦しいのは、腹筋を鍛えるための足上げだ。音楽を流し、息継ぎの間は足を下ろせるが歌が始まると寝てる状態で足を45度に上げるのだ。曲によって凄くきついし、歌いながらの足上げだから苦しい。それに、体育館の端と端に立ちしりとりをするのだ。滑舌が良く声が出ていなければ、聞こえない。他にも厳しい練習ばかりだ。

 そんな部活ばかりの毎日で、私は文化祭の舞台のキャストメンバーに選ばれた。あまり出番は多くはないが台詞も充分あるし、大事な役柄だと思っている。

 一年で役を貰えたのだ、精一杯頑張りたいと日々練習を重ねていた夏終わりのある日。

 部活が休みの今日、先日見つけた顎の下のビー玉みたいなのを、私が気になり続けていたのを知っている母と、学校を休んで朝から近所の病院に行った。


「ねぇお母さん近所のお医者さん風邪でリンパが腫れてるって言ってたじゃん!何で大学病院迄来るの?」


私も何故か気になるしこりだったのだが、近所のお医者さんは風邪のせいだよと、診断した。不思議なんだけど私は至って健康だけどね、風邪なんてひいてない。

その結果を聞いた後、母も気になるらしく本日2つ目の病院。それも大学病院だから、驚きだ。2人待合室に座り、ひたすら待った。私の心の中はその時は未だ不安も何も無くて、ただ暇だったから携帯をいじっていた。


「あんた何時も部活部活で、次に病院なんていつ行けるかわかんないでしょ。時間も間に合にあったし、一応確認の為の大学病院よ」

「いいけど、大学病院。顎の下だから口腔外科なの?初めて見た口腔外科なんて、さっき呼ばれて教授の先生に触診して貰ったらそのまま丁度空いてたからって2時間待ってMRIなんて、頭を輪切りにするんだよね」

「そうね、輪切りにしてどうなってるか見て安心できたら一番じゃない」


そんな事を軽い感じで話しながら、名前を呼ばれて機械に入り、うとうとしながらも終えた。長い待ち時間の後、最初の診察室で結果を聞く。その頃には大体の人は帰っており、殆どが大学病院の人ばかりだった。

 呼ばれて中に入ると、教授なる人が居てその他にも数人の先生がいた。比較的若い先生が話し出した。


「蒼井乃蒼さん、このMRIの結果を見てくれるかな………………」


私は何を言われているのだろう?耳下腺腫瘍って何?こんなに早期発見も珍しいって何?手術を早めにって?色々なリスクって?開けてみないと腫瘍の判別もつかないって…………………どう言う事よ……
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