クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい

「適度な運動を心掛けるようにしてください。散歩をするとか、その程度で大丈夫です」
「……エレベーターじゃなく階段を使って歩くような? それは危ないんじゃないでしょうか」
「うん、そこまでいくとちょっと頑張りすぎですね。エレベーターは普通に使って大丈夫です。後はお母さんの調子に任せましょう。運動は? お好きですか?」
「あ……はい」

 話を振られて慌てて応える。「好きと言っても、本当に公園を歩いたりという程度ですが……」
「うんうん、充分です。そういう運動をこれからは意識的にできるといいですね」
「動き回って大丈夫でしょうか」

 そう言った夏久さんに向かって、先生がやんわり首を振る。

「お父さんは心配性ですね。お母さんはこれからもっともっと強くなっていくんです。だからもっと信用して大丈夫ですよ」

 信用、という言葉が沁みたのはきっと私だけではない。
 私たちの間にないものがその言葉だった。

「それでも心配なら、一緒に外出するといいでしょう。最近はいいお天気が続いていますし、無理のない範囲でおおいに運動してください」
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