クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「君が意外と行動派なのを忘れてた。家を飛び出して夜遊びするような人なのにな」
「それはちょっと語弊があります……」
「……あの夜も誘ってきたのは君の方からだったしな」

 夏久さんが言っているのは、引き留めようと手を伸ばしてしまったあれのことだろう。
 誘ったつもりはないけれど、そう受け取られていたのだと知る。

「今、意外と頑固で面倒な性格らしいことも知ったよ」
「そんな言い方……」
「そこまで言うなら付き合う。好きにしてくれ」

 数秒前の発言はともかく、まさか許されると思わなくて目を丸くする。

「本当に……?」
「ただし、俺はデートだと思わない。君の気晴らしと運動を兼ねた、単なる外出だからな。たとえ場所が遊園地だろうと、だ」
「わかりました。……ごめんなさい、困らせて」
「ああ、本当にな」

 強引すぎたことを今更後悔する。
 夏久さんは私の――子供のためにいろいろと心を砕いてくれている。
 デートなんておこがましい。以前、自分で言ったように図々しいことだった。
 遠慮こそすれ、これ以上願うなんてしてはいけなかったのに。

(夏久さんとデートできるんだ)

 一方的な、最初で最後のデート。
 それを嬉しく思いながら悲しくも思うのは、ホルモンバランスが乱れているせいだろうか――。
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