「お母さん、届いた野菜ここに入れておくね」

「あら、ありがと伊都!あ、でも大根はすぐ使うから出しといていいよ」

「分かった。あ、それと私お米研いでくるから」

「アッハハ!伊都がいてくれてお母さん大助かり!」



家の1階でお母さんが切り盛りしている定食屋『いと』は、休日になるととくにバタバタと朝から仕込みに追われて大忙しになる。

ギラギラと眩しく照らす太陽も、まだてっぺんに登りきってはいないこの時間から、今日も大忙しで動き回っていた。



いつもならもう1人、隣の家の幼馴染でもある悠太くんがアルバイトとして来てくれるのだけれど、今日は部活が延長になったらしく、《すまん、遅れる》と携帯にメッセージが入っていた。






「水加減、水加減っと」

私がこの町に引っ越してきてから初めて出会った同い年の子であり、私の人見知りを直してくれた子でもある悠太くんは、周りの同い年よりも随分大人っぽくて大人しく、そして女子の中のスーパーヒーローだった。