もう一度あなたに恋をする

九月もあとわずかになったころデスクで仕事をしていると高木さんに呼ばれた。

「朱音ちゃん、今その仕事止めても大丈夫?」

「はい、大丈夫ですけど?」

「じゃあ第一会議室に一緒に来て。あっ、メモとペン持ってきてね。」

第一会議室って今日はプロジェクト会議してたよね?
訳も分からず高木さんと一緒に会議室に向かうと、やっぱり合同会議をしていた。
ただ今は休憩中?

「九条さん連れてきました。」

「ああ、ありがとう。」

私を確認した滝沢さんが席を一つ移動し久瀬さんと自分の間の席に座るように促した。

「九条、とりあえずこの資料十分で目を通してくれるか。」

わけがわからないが手渡されたプロジェクトの資料に目を通す。今までも助っ人として資料作成には関わっていたので大まかな概要は把握している。

「今からアシスタントは九条になってもらう。あと十分で会議を再開する。それまでに先ほど出た変更案を作ってほしい。」

立花さんは?と気にはなったが何せ時間が無い。前回までの計画案に赤ペンで修正が入った書類を渡された。

「十分でできる?」

滝沢さんが心配そうに聞いてきた。

「修正ですので大丈夫です。」

気になる事はたくさんあるけど今は集中。目の前に置かれたパソコンと睨めっこ。私が作り上げた図面でなかったので修正も少し手間取ったが何とか十分で終わらせた。終わったことを確認した久瀬さんが会議の再開を指示する。

「時間を頂きすみませんでした。それでは先ほどの修正案が出来ましたので確認お願いします。」

向かいに座る花岡建設の上役であろう人物が『今度は大丈夫?』と嫌味を言っている。『先ほどは申し訳ございませんでした。もう大丈夫です。』と久瀬さんが頭を下げている。そして前のプロジェクターに私が修正した図面が映し出された。

会議はその後一時間ほど続き終了した。私は意見が出た案をその場で図面化すると言う作業をこなし、会議が終わるころには力つきぐったりだった。
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