例えば、こんな始まり方
私、男の人、拾っちゃいました。
その夜、私、北野真由は今日も少し残業で遅くなってしまった。新人の新田さんが、大量の仕事を残し、

「今日は彼とデートなんでー。あと、処理お願いしますぅ!」

と言って早々に退社したのだ。引き受けてしまう私も私だ。頼まれると嫌と言えない性格のせいで勤務3年目にして総務部の雑用係と化している。

救いなのが、アパートの目の前にコンビニがあること。とりあえずの食料はここで買える。割高だか、毎日10時過ぎ帰宅、週末も出勤、ともなれば仕方ない。

その日もコンビニに入ろうとしたところ、どさっ、と言う音とともに若い細身の男が抱きついてきた。

「え?きゃ、きゃーっ!何っっ?」
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