例えば、こんな始まり方
これからの2人
「遅い!!」

カウンター席で不機嫌そうに、スーツ姿の男がつぶやく。

「俺がどれだけ心配したことか・・・」

「悠翔!?ホントに本物の悠翔?」

「偽物の俺とかいるのかよ」

苦笑する悠翔。

「あ・・・悠翔さんですか?初めまして、北野真由です」

すると、悠翔の顔が、どんどん驚きの顔になって行き・・・。

「君が、純一の彼女?」

「はい」

「どした、悠翔?」

怪訝そうに悠翔の顔を覗き込む純一。

「俺、婚約したんだけどもさ」

「え~~~っ?」

と驚く純一。

「いや、ポイントはそこじゃなくて。彼女と俺の写メ、見てくれるか?」

「もちろん」

純一が悠翔のスマホを覗き込んで、そこに見つけたのは・・・。

「真由、の青い目バージョン?」

「へ?」

その声を聞いて、私も悠翔のスマホを覗き込む。

「ホントだ。茶髪で青い目の私だ。ビックリ」

「彼女が悠翔の婚約者?」

「あぁ・・・結婚式は東京でもやるから来てくれよ。10月18日の日曜日。真由ちゃんも是非。セーラも喜ぶよ」

「そうそう、美沙と僕はもう大丈夫。離婚同意にこぎつけた。離婚届にサインとハンコ、もらえたよ」

「は~~っ、よかった、どうなることかと」

「心配させたな。真由と僕は始まったばかり。だから、結婚はもう少し先になると思うけど」

「でも、一緒に住んでるんだろ?」

「うん、まぁ、始まりが始まりだったから」

「え?」

「詳しくは、また、話すよ。ところで、今は東京出張?」

「ああ。明後日までな。3日後にはLA」

「お前、出張、ロスばっかだな」

「俺も、彼女と一緒に住んでんの、1年の半分。残りの半分は淋しがらせちゃってるけどな」

「結婚したら、どうするんだ?」

「俺、東京ベースに戻ることになったんだよ。それを機会にな」

「そういうことか」

「純が東京にいてくれるなら心強いな」

「お互いにな」

もう少し、話したい。
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