With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
そんなこんなしているうちに、グラウンドに到着したけど、既に先輩達が準備を始めているのを見て、私達は慌てて


「すみませ~ん、遅くなりました。」


私を先頭に、中に入った。すると一斉に注目を浴びてしまい、一瞬たじろいだけど


「今日からマネ-ジャ-として入部させていただく1年C組木本みどりです。よろしくお願いします!」


と次の瞬間、夢中で自己紹介してしまった。


「あ、同じく今日から入部します松本省吾です。」


「久保創です。」


私に先を越された形になった2人も、慌てて先輩達に挨拶する。しまった、選手である2人を差し置いて、まずかったかなって思っていると


「こら、松本、久保。マネ-ジャ-に後れを取るとは、だらしないぞ。」


と案の定、西キャプテンからお叱りの言葉が。


「すいません、つい出しゃばっちゃって。」


私がそう言って、2人を庇うと


「別に木本が謝ることない。2人の気合の問題だ。」


とピシャリ。3人して、シュンとなって少し俯いてしまうと


「なんて精神論とはウチは無縁だからな。」


横から石原監督の穏やかな声。えっと顔を上げると


「もちろん最低限の先輩後輩のケジメは必要だし、スポ-ツの部活である以上、勝利を目的にしているのだから、なぁなぁで仲良しこよしでやるつもりもないがな。ということで、よろしくな。」


「は、はい。」


思わぬ展開に戸惑いながら返事する私達に、監督はニヤリと笑った。


「じゃ、アップに入ろう。」


その笑顔が合図になって、キャプテンの号令一下、準備運動のランニングがスタ-トする。


「白鳥、先頭を走れ。省吾、久保、付いて来い。」


「はい。」


先頭に指名された白鳥くんが大きな声で号令を掛けて、走り出す。そして先輩達が続き、最後にキャプテンが松本くんと久保くんを引き連れて走り出す。その様子を見守っていた私に


「木本、少し話すか。」


と監督が声を掛けてくれる。


「はい。」


頷いた私は、監督に付いて、グラウンドの隅に移動した。
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