やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
本当の別れ
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。」
深々と頭を下げてから莉緒は身支度を済ませて帰ろうとしていた。

「ちょっと待て」
和哉はいつの間にか着替えを済ませていた。いつものタイトなスーツにピシッと決めた短髪とは全く違う恰好の和哉。
黒いパンツに白のオーバーサイズのTシャツ。その上から半そでのグレーのパーカーを羽織っている。黒の腕時計にサラサラの髪。
莉緒はいつもとは違う和哉の雰囲気に、新鮮さを感じた。

「いえ。自分で帰れます。これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきません。」
今日は和哉が財布をポケットに入れて車のカギを手にしているのをみて、莉緒は両手を前に出して首を横に振った。
本当に夕べの大失態の後で送ってまでももらうのは気が引ける。
「何言ってんだよ。今更遠慮する仲じゃないだろ」
「どういう意味ですか?」
「お前のゲロも下着姿も」
「もういいです。」
和哉の言葉を途中で止めた莉緒。
「ほら、行くぞ」
と和哉は莉緒の前を歩き出した。
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