病院から徒歩3分のところにあるアパートが私の城。
ホテルから飛び出した私は真っ直ぐにここに帰ってきた。

振袖?お草履?知りませんそんなもの。
ハルが私の母に届けるか、母が取りに行くかすればいい。二人がどう関わってるのか知らないけど。

私の下着を含めた着替え一式があの部屋に準備されてる事からして母とハルが連絡を取り合ってあれを準備したとしか思えない。
ここの合鍵を持っている母にしかあの準備はできないのだから。

ーーそう言えばハルはお母さんのお気に入りだったっけ。

くしゃくしゃになった髪も濃いめのメイクも早くきれいにしたい。
狭いながらも楽しい我が家のお風呂に入ろう。そうだ、先月お土産に頂いたお高い入浴剤も入れてしまおう。
お風呂上りには何かのために取っておいたサンプルでもらった高級ボディクリームも使ってしまおう。
そうだ、そうしよう。

熱めのお湯をためて浴槽に身体を沈めると思わずふうっと声が漏れてしまう。
これ仕事の後に生ビール飲むと、思わず「くう~」って言っちゃうのと同じ。

本当にわけがわからない一日だった。
お父さんに強制されたお見合いに行ったはずだったのに。

あれ本物のハルだった。

ーー6年振りに会ったハル。
相変わらずのイケメンだった。
全く、これっぽっちも理解できない言動だったけど。

何が結婚しようだ。
そもそも私たち付き合ってないし。

馬鹿馬鹿しい。