"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる

決めました。



夏が終わりに近づいてきた。

バイトして、サークルに参加して、遊んでばっかの夏がもうすぐ終わってしまう。

夏休みが終わる前には住み続けるかどうか管理人に返事をしなければならない。

お盆の間、実家にいたこともあり平屋には殆ど寄り付いていなかった。

そう考えると、大学に近い物件を探した方がいいのかもしれない。

縁側に寝そべり、スマホで物件を探すがピンと来るものがない。かといって、不動産屋について回るのは面倒だ。

スマホを床に滑らせ、庭を眺める。

いつの間に復活していたのだろうか。
雑草が伸び放題になっている。

新しい物件を見つければ庭の手入れをする必要はない。広すぎる部屋を持て余すこともない。あの長い坂を上り下りする必要もない。

このまま、雑草を放置してもいい筈なのに。


俺は結局、軍手と帽子を取りに行っていた。
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