東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】

東京にて

その頃。
東京駅。
東北新幹線◯番ホーム。
会社員、鈴木福男(仮名・本編に関係なし)は、次発レーン先頭に並んでいた。
新幹線が入って来て、決められた場所に定刻通り停車した。
やがて、ドアが開く。
鈴木はドアの奥に壁があると錯覚した。
いや、壁がある。
壁はそのまま前へせり出して来た。
⁉︎⁉︎
鈴木は焦り、避けようとしたが壁は横移動を開始、90度回ったところで巨大なデイバッグである事に気づいた。
丸太がデイバックを持って…。
勘違い、丸太の様な腕が片手で巨大な鞄を持っていた。
その後ろに巨躯が隠れていた。
新幹線のドアを屈んで男が出て来た。
頭ひとつ分はみ出ていた。窮屈だったろう、首をゴキゴキと鳴らし胸を張った。
この胸板がまたゴツく、岩が二つ並んでいる様だった。
2メートル近くある男は、正に見下す様に鈴木に話しかけてきた。
完全な畏怖である。
ひぃっ!と出そうなところを必死に堪えていた。
「あのさー、伽藍学園て何処だか分かるかな?」
鈴木は小さな声で、やっとの事話した。
「いきなり東京駅で伽藍学園と言われてもさー、何区にあって最寄り駅が何処であるとかなら解るけど、いきなり学校名だけ言われて……」
そこまで話した時、大男はもう歩き出していた。右手を挙げて振りながら。
「全く東京もんは冷たいねー」
独りごちた。


同じ頃、羽田空港。
到着ロビーに現れた男。
福岡からの便に乗って来た。
風貌は異なるのだが、ニュアンスが似ている。
東京駅の大男に。
巨躯に太い腕、岩の様な胸板。
東京の男はTシャツだったが、こちらはシャツを羽織っていたが、パンパンに膨れ上がっていた。
荷物の受け取り口から、大きなデイバックを受け取ると歩き出した。
「東京行きのバスは何処だ」
独り言である。





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