転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
最強コンビ結成
「ひどい話……」

 フィデル様の話を聞き終わって、そんな言葉が口をついた。
 王妃様が死んで、幼いフィデル様はどんな気持ちだったのだろう。さらに、勝手に〝母親殺し〟という罪を着せられて……。

 今まで、なにを思いながら、たったひとりここで過ごしていたのだろうか。考えるだけで、胸が締め付けられた。

「もう過去の話だ」

 フィデル様はそう言うけれど、〝過去の話〟で済まされることでは決してないと思う。

「じゃあ、フィデル様は学園にも行かれてないんですよね?」
「ああ。行かせてもらえなかった」
「でも、すごく頭がよさそうに思えます。どこで勉強なさったんですか?」
「部屋にある本を読んで、だいたいの知識をつけた。元々、物覚えはいいんだ。わからないことを聞きたければニールがいたし、学園に行かずとも特に支障はなかったな」
「そうですか……」

 学園に行かなかったフィデル様に身に付かなかったのは、協調性と、他人とのコミュニケーションの取り方だろう。そのふたつは、エリオットが長けている部分ともいえる。

 それにしても、フィデル様を見ていると違和感を感じる。どうして、黙ってなにもかも受け入れているのかが、私にはわからない。

「……あなたは、自分を閉じ込めた王とエリオットのことを恨んでないの? 話を聞いてわかったけど、あなたは悪くないじゃない」

 フィデル様が現状を受け入れきっている感じが気にくわなくて、言い終わったあとにおもわず敬語を忘れてしまったことに気づく。
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