My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

3.海賊(後)


 ドンドンっと強く扉を叩かれて私は声にならない悲鳴を上げた。だが。

「すみません! 手を貸してください!」
「頼む!」

 聞こえてきたのはそんな切羽詰った声で私たちは顔を見合わせた。海賊ではなくこの船の乗組員たちのようだ。

 セリーンが鍵は開けずにどうしたと大声で訊ねる。

「傭兵がひとりも乗船してねーんだ!」
「助けてください!」
「……どういうことだ」

 ラグが小さく呟き立ち上がった。

(1stの傭兵が何人が乗っているはずじゃなかったの……?)

 更に必死な声は続いた。

「あんた傭兵だろう!」
「お願いします!」
「このままじゃ荷物全部奪われちまう!」
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