カッコウ
孝明 5
みどりが妊娠したと知ったとき、孝明は純粋に嬉しかった。

まだ若いし、収入も少ないけれど、みどりと子供の為に頑張る生活も良いと孝明は思った。
 
「産むの?」

孝明の反応に、みどりは驚いた顔をした。
 
「俺に反対されると思ったの?」

孝明が聞くと、みどりは涙を溜めて頷いた。
 
「馬鹿だなあ。一人で心配して。俺もいよいよパパか。」

と微笑む孝明を見て、みどりは号泣した。
 
まだ結婚前だから孝明は妊娠に気をつけていた。

でも、何度も体を重ねていたから。

避妊が完全とは言えない。

もともと孝明は前向きな楽天家だから。

不測の事態も受け止めるしかないと思った。
 


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