ノクターン
私は、より一層努力して 第一志望の有名大学に合格することができた。
大学進学を機に、私は軽井沢を出て東京で生活するようになった。
一人暮らしは寂しい時もあったけれど、快適だった。
友達がたくさんできて それまでの努力を取り戻すように充実した学生生活を送った。
サークル活動やコンパなど、大学生らしい楽しみを満喫した。
はじめて彼ができて、恋愛も経験した。
就職を意識していたので、単位を落とすこともなかった
順風満帆な大学生活だった。
それに 私は東京で暮らすようになって、智くんとの思い出を純粋に懐かしむことができるようになっていた。
軽井沢にいた頃は 二人の境遇ばかりが気になって 卑屈になったり、智くんを妬んでみたり。
小さな世界で生活していると、大切なものを見失うことがある。
智くんと遊んだ時間は、大切な思い出だったのに。
大学に合格したことで、少し自分に自信が持てたのかもしれない。
また、大都会で色々な人を見たことで つまらない拘りを捨てられたのかもしれない。
都会にはたくさんの人がいて、いちいち他人には干渉しないから。
でも、心に余裕ができた一番の理由は 軽井沢を離れたことだと思う。