ノクターン

「私、そろそろ失礼しないと。」穏やかで、和やかな時間だった。

温かく迎えられ、昨日までの不安と緊張した時間を恥ずかしく思った。

話しが弾んで、すっかり長居してしまった。

日が沈みかけた時に 私が言うと
 


「ねえ、麻有ちゃん。夕食、一緒にどお?ね、お父さん。」

とお母様は言う。
 
「今日はこれで。また ゆっくりお邪魔してもいいですか?」

私は智くんを見ながら答える。

智くんも笑顔で頷いてくれた。
 


「いつでも来て。そうだ、麻有ちゃん 携帯番号教えて。」

とお母様に言われ 私はお母様と携帯番号を交換する。
 


「何?勝手に連絡とかしないでよ。」と智くんは お母様を見る。
 
「私が智之抜きで 麻有ちゃんと話したら まずい事でもあるの?」

お母様は、いたずらっぽく私に笑いかける。
 


「俺、駅まで麻有ちゃん送ってくるから。」
 
私達は、智くんの家を出た。
 
 
< 62 / 270 >

この作品をシェア

pagetop