授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
第三章 はなみち商店街の空き巣事件
「ええっ!? 黒川先生に告られた!?」

聖子が手にしている焼きそばパンから紅ショウガがポロッと落ちる。

黒川さんに告白されてから三日後。

「デート以来、どうも様子がおかしい。なにがあったのか白状しなさい!」と聖子に問いただされ、お昼の休憩中、とうとう私は黒川さんとのことを話さざる得なくなった。

「ちょっと! なんで早く教えてくれないのよー! 水臭い!」

聖子の驚きの声がピンボールのように壁に跳ね返り、私の身体にグザグザと突き刺さる。

「ごめんってば……」

忙しなく清隆さんと光弘さんが厨房でパンを焼いているその奥に小部屋があって、休憩はいつもこの部屋でとっている。事務所兼休憩室になっていて、二人一緒に入れば少し窮屈なくらい狭い。

「私だってびっくりしてるよ。なんで私なの? って……。確かに黒川さんはステキな人だし、もったいないくらいだよ」

「それで? なんて返事したの?」

聖子がグイっとお腹を気遣いながら前のめりになる。

キスのことは割愛しておいてよかった。この調子じゃ、もっと興奮して「詳しく教えて!」と家に帰してもらえないかもしれない。

「それが……あまりにも急だったし、私も黒川さんのこといいなって思ってるんだけど……なんて返事をしていいかわからなくて、まだなにも応えてないの」

「はーーっ!! も~、なによそれ」

じれったい。と言わんばかりに聖子がペシッと額に手を押し付けて天井を仰ぐ。
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