【短】俺でいっぱいになればいいのに
アイツなんか見てないで
「あ、遼太先輩」


君に呼ばれて、振り返った。

俺も、君に気がついて、あ、と声をこぼした。

そのまま、ひと回り小柄な君がかけてきて、俺の隣に並ぶ。

可愛らしい笑顔が、俺の胸を締め付けた。


「おはようございます」


俺を認識して、わざわざ、声をかけてくれることが嬉しかった。


「おはよ」


別に、君と俺との間に、部活や委員会の先輩後輩といった繋がりはない。

君と俺が、こうしているのは、偶然の賜物にすぎないのだ。


「雪、凄いですね」


君の言った通り、視界の8割が白い。今日は大雪が降り、電車が遅延していて、いつもの電車に乗れなかった。

駅のホームで、次の電車を待つしかなくて、暇を持て余していたところだったんだ。

だから、たまたま君と今日会ったんだけどさ。


「うん、そうだね」


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