ノクターンⅡ
13

週末、パスポートのコピーを持って 私達は 松濤の実家に行く。

細かな用事はあるけれど それに かこつけて 一緒に過ごすことが楽しくて。
 

「軽井沢のお父さんが 航空券の費用だけでも 受け取ってほしいって言っていたよ。」

智くんは 私の両親の気持ちを みんなに伝えてくれる。

当然のように 何も負担しないで 付いていくのではないことを。
 

「それは、駄目だよ。いつも別荘を綺麗にしてもらっている感謝の気持ちなのだから。」

と、お父様が言ってくれて みんなも頷く。
 

「そうだよね。そう伝えて 納得してもらったからね。」智くんが言う。
 

「軽井沢のご両親 義理堅いから。」とお母様は 私を見る。
 
「でも智くんの説得が すごく上手で。最後は、父も 気持ちよく お願いしますって言っていました。」

私が笑顔で言うと、
 

「へえ。どんな風に話したの?」とお姉様が聞く。
 


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