twilight sinfonia
《8》
「ねぇ、瑠南。そろそろ遊びに行こうよ、ね?」


楽屋の目の前、ドアさえ開けられたら辿り着くそこに、大きな壁。敵。ラスボス。NELの玲兎。


にっこりと笑うその顔の裏にはケモノが潜んでいるのを私は知っている。


3年くらい前の元カレでいまだに私に執着してくれている、けども、私的には全然嬉しくない。
なんなら怖い。
控えめに言ってちょっと苦手。
ストーカーっていう認識。


「さ、最近仕事詰まってて、忙しいんだよね、ごめんね?」
「いいじゃーん、遊ぼ?1回くらいばっくれても、ちょっと怒られるくらいだよ?」


ばっくれたこと、あるんだ?
そこは責任持ってやろうよ。
自分でするって決めたことはちゃんとして?
ダメだよ、ほんとに。


リハも無事終わって本番前、みんなのメイクをしてあげないといけない私は既に焦っているって言うのに。


目の前の彼は食い下がって私を解放してくれる気配はない。
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