悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 軽い恋愛小説くらいなら読んだことはあるが、そもそも読書は嫌いだったし、わざわざここに来なくても、たくさんの本を買うことができたからだ。

(前世で……ここに来たのは)

 ちょっとげんなりした顔で思い返した。
 たしか、夫の心を得るおまじないを求めて来たのが最後ではなかっただろうか。
 アンドレアスに振り向いてもらいたいだなんて、前世の自分はものすごく愚かだったとしみじみと思う。

「……さて、と」

  広い図書館の中を見回し、両手を腰に当てる。まずはこの国についてきちんと学びなおすことが大切だ。
 図書館の中は、ぎっしりと本のつめられた本棚がずらりと並んでいる。
 その間には、広い机や、座り心地のよさそうなソファなどが、適度な間隔で並べられていた。
 レオンティーナは奥まった一画にあり、日当たりがよくて居心地よさそうな場所を選ぶと、そこに鞄を置いた。
 ノートと鉛筆もきちんと持ってきたし、時間ぎりぎりまでここにいるつもりだ。

「ソニア、私はここの席を使うから、あなたはあちらの書棚から好きな本を持っていらっしゃい。あなたにも読めそうなものがあるはずだから」
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