悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 一週間ほど前に受け取ったヴィルヘルムからの手紙を見ながら、レオンティーナは考え込む。
『グラナック博士の研究は、ロアでも認められているよ。マレイモは、我が国の特産品に成長するだろうね。父上も君に会いたがっている。近いうちにロアに出てこられないかな』

 ヴィルヘルムに誘われなくても、そろそろいつロアに移動するかという話は出てくる頃だろう。
 そろそろ社交界デビューする時期だ。前世では十二歳でアンドレアスとの婚約が調っていたけれど、今回の人生では、まだ、レオンティーナの相手は決まっていない。
 父のところにもしばしば縁談が持ち込まれているようではあるけれど、本格的に相手を探し始めるのはこれからだ。ヴィルヘルムとの縁談もあったというが、成立しないまま今日まで来てしまった。

(前世での人間関係とはがらりと変わっているものね。デビューしたあと、どうなるかわからないわ)

 レオンティーナが変わったせいか、前世と今回では様々な違いが起きている。
 たとえば、まだ、皇太子は正式に決まっていない。
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