悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナが、皇子に嫁ぐというのは、既定路線として語られるようになっていた。

(大公家の娘だから、たしかに皇族に嫁ぐという可能性は高いけれど)

 歴史は、レオンティーナが知っているものとは完全に違っている。
 前世では、レオンティーナは十六でアンドレアスに嫁いで皇太子妃となり、十七歳で皇妃となった。

(……私と結婚した人が、皇太子になるんじゃないかって言われてるものね)

 皇帝は、レオンティーナの縁談については、まだ具体的なことは何も口にしていない。シャンテール大公家の娘についてもそうだ。
 皇子達の縁談も、まだまだ実現しそうにない――ということから、レオンティーナを迎えた者が、そのまま皇太子になれるなどと噂になってしまうのだ。
 皇帝はレオンティーナを気に入っていることを隠そうとはせず、ケルスティンのところで食事会や茶会に招かれると、レオンティーナの顔を見たさに皇帝が出席することも多い。
 皇帝のお気に入りであるという噂が立っている以上、噂になってしまうのもしかたのないところなのだろう。

「レオンティーナ様は、ヴィルヘルム殿下のことがお好きなのでしょう?」
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