エリート御曹司が花嫁にご指名です

六、宮古島での思い出

 夏季休暇が終わった翌日、出勤した私はカフェスペースで優成さんのアイスコーヒーを淹れていた。

 一般企業などは本日の木曜、金曜と休み、長期連休だったりするが、わが社の繁忙期は、一般の人が長い休暇の時期にあたるので、夏季休暇は三日間のみ。

 この夏季休暇に、私の人生はガラリと様変わりをした。そんなことを考えている私の肩がポンと叩かれた。

 振り返ると、三和子さんがニヤニヤして立っている。

「たった今、社長から聞いたわよー。専務と結婚するのね。おめでとう」
「……ありがとうございます」

 突然のことなのに、当然のように受け入れている様子の三和子さんが不思議で、私は口を開く。

「思いもよらない話に、驚かないんですか?」
「ふふっ。驚いたわよー。でも、収まるところに収まった的な感覚かしら。お似合いのカップルじゃない。噂が本当になったってところね」

 三和子さんは笑みを浮かべ、社長用の緑茶の茶葉を選ぶ。

「交際0日で、結婚するんですよ? おかしくないでしょうか? 社長たちは付き合っていたと思っていますが」
「ええっ? 交際0日!? 私も隠れてお付き合いしていたのかと思っていたのよ。隠すのが上手だわって」

 三和子さんは、マシンのお湯のスイッチを押すのも忘れて、私を食い入るように見る。

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