俺と、甘いキスを。
予期せぬ一夜

「右京さん。どうして川畑さんをサポートにしたんですか。今まで私がお手伝いしていたんですから、このままでいいじゃないですか」

右京蒼士から私に、事務のサポートの指名を受けた翌日、想定内というか早速とばかりに峰岸真里奈が彼へと詰め寄っている。

私は三階の備品保管庫へ白衣の在庫を確認するために階段を上っていた。一階から二階への階段の折り返しの踊り場で、二階の階段付近で会話をしている二人を見かけて壁際に身を隠す。

「川畑さんは忙しいから、頼みごとがあってもすぐに引き受けてくれないですよ。私なら右京さんのためにすぐに対応して、それ以上のことだってしてあげられるのに」
彼女の猫なで声から、右京蒼士にかなり接近して、上目遣いでおねだりしている想像が容易にできる。

ふっ、と、あの状況を自分に置き換えてみる。

──私が猫なで声で「それ以上のことだってしてあげられるのにぃ〜」と上目遣いで…。

「……」
ダメだ。想像した私がバカだった…。
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