シンフォニー ~樹
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赤坂のホテル、写真スタジオのロビーに 絵里加が現れると みんなは歓声を上げる。
 
「絵里ちゃん、綺麗よ。」
 
「うん。とっても良く似合うよ。」

髪を結って 振袖を着た絵里加は 日本人形のように 美しい。
 

「ありがとう。」

少し窮屈そうに 胸を押さえて 絵里加が微笑む。


やっぱり 最初に目を合わせたのは 健吾で。

二人は 笑顔で静かに 見つめ合う。


慣れたとは言え、見たくない光景。

それでも 目を逸らせずに、樹は 絵里加を見続けてしまう。
 


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