如月くんは私をひとりじめしたい
「今日はありがとう」
「うん…」
如月くんはわざわざ家まで送ってくれた。
別にいいって言ったのに、「小春ちゃんは可愛いから変な奴に絡まりかねない。夜だから余計心配だし、絶対送ってくんだ!」と私の言葉を聞かなかった。
「じゃあね」
「うん」
如月くんは最後まで如月くんだった。
お母さんが来た後から落ち込んでいたのは何となく分かる。
だけど、それを顔には出さず、楽しもうとしてくれた。
泣きそうな顔してたのに、泣かずにただ笑っていた。
もしかして、一人で泣くとかじゃないよね?
そんなの嫌だよ。
1日の最後を涙で締めくくるなんて。
嫌かもしれないけど、私の前で泣いてくれれば、ぎゅってしたり出来たのに。
気がつくと、如月くんを追いかけていた。
これは如月くんのためじゃない。
如月くんのためならば、放って置くのが妥当だろう。
だけど、どうしてかな。
なんだか、如月くんは強がっているように見えるし、寂しそうにも見える。
時折見せる、その悲しそうな顔が浮かんで、いてもたってもいられなくなる。
「如月くんっ」
私は如月くんに抱き付いた。