悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
願いは成就する

「お妃様―!」

「隊長、お妃様、おかえりなさーい!」

 城に戻ってきたルークたちは、留守番の隊員たちに迎えられた。

「ただいま。はい、たくさんお土産!」

 国王から贈られた食べ物や衣類、本などに隊員たちは目を輝かせた。

「すげえ……。あれでも、俺たち国王陛下に嫌われているのでは?」

 キョトンとする隊員の肩を、ジョシュアがポンと叩いた。

「それは誤解だったんだ。おふたりのおかげで、これからもっと暮らしやすくなるぞ」

「誤解ですか?」

「詳しくはあとで話そう。さあ、荷ほどきを手伝ってくれ!」

「了解!」

 その夜は王都での事件から最後の食事会までの話で盛り上がった。

 一部始終を見ていた隊員たちが、面白おかしく脚色しながら話す。

「第一王子がな、こう足を押さえて『痛いよ~、ママぁ~』って泣いてな」

「マジか! よっわ。王子さまよっわ」

 相変わらず酒は一杯しか支給されないが、その日の夕食の時間はいつもより長く続いた。

 笑顔の隊員たちを見て、アリスたちはやはりここに帰ってきてよかったと思った。

< 207 / 215 >

この作品をシェア

pagetop