上司は優しい幼なじみ
3.モヤモヤする思い

耳を疑うような話を聞いたのは、それから間もなかった。

「え!?私が新商品の開発に!?」

出社して早々、山本さんと一緒にたっくんに会議室に呼び出された。

たっくんとのあのプチデート以来、私は仕事で彼を意識して仕方なかった。
業務に支障をきたすのは社会人としてみっともないし、公私混同するのはたっくんは好きではないはずだから、あえて必要以上の接触は避けるようにしていた。

何か進展があったわけでもなく、ただ私が一方的に思って一方的に接触を避けているだけの毎日。
久々に声がかかり何か言われるのかと思ったら、想像もしていない話だった。

「今回は山本さんの補佐ではなく、岡田さん一個人として、新商品の提案をしてほしい。山本さんは、必要あれば彼女のサポートにも回ってほしいと思っています。業務量増やして申し訳ないですけど、いいですか?」

「もちろんです、係長。岡田さん、一緒に頑張ろう」

会議室をあとにし、山本さんは別の用事で先に小走りで姿を消した。
不本意にも二人きりになり、何かしゃべらなくてはと必死に頭を回転させる。
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