溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

なんだか、調子狂う。

【朔side】


今日も疲れた。


また危うく告白されそうになったから、うまくすり抜けてきたんだ。


同じクラスにもなったこともなければ、話したこともない女。


ほんと女って、男の外見しかみねえ醜い生き物だ。


家のドアを開けると、カレーのいい匂いが俺を出迎えた。


近所中にうまそうな匂いが漂っていたから、うちだったらいいなと思っていたんだ。


「お帰り~」


二階への階段がリビングにあるため、自分の部屋に行くには家族の前に顔を出さなくてはいけない。


結構めんどくさい。


「ただいま」


母親の陽気な声にぼそぼそと返事をしながらリビングに入ると、もう一つ、声が聞こえてきた。


「お、お帰りなさいっ」


……っ。
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