溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

ふたりきりの、夜。

【朔side】


「夏休み、彼女と旅行に行くことになったんだよ」


「マジかよ!」


「うらやまし~!」


退屈な授業から解放されて、束の間の休み時間。


新太の発言に、仲間がわっと盛り上がる。


「親には内緒なのか?」


「いや、彼女の親戚が伊豆で民宿やってて、彼氏連れて遊びに来いって言われたらしいんだ」


「家族公認かよ! やるなあ!」


ダチとの会話は、女の話ばっかり。


彼女がいるくせに、何組の誰が可愛いだの、胸がデカそうだの。


どいつもこいつも、ヤルことしか頭にねえ。女も女なら、男も男だ。


17歳にしてこんな達観したような俺もどうかと思うが、恋愛のすべてを姉ふたりで一通り見てきた俺には、自分がその主人公になることがまったく想像できないんだ。


「おい朔、いい加減彼女くらい作れよ」


この流れ、いつものパターン。
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