でもどうして理玖が家庭教師を引き受ける気になったのか……。
 私の両親が理玖のご両親にお願いしたのは間違いなさそうだけど、まさか理玖がそれを引き受けるとは思ってもみなかった。

 その前に、父が夏休みに家庭教師を付けると言ったあの時に、父は理玖に話をするつもりだったのか……。

 父の事だから、知り合いの娘さんで大学生とかに頼むものだと思っていただけに、私の驚きは一入(ひとしお)だ。
 多分体調も良くて元気だったら、理玖が引くレベルで大騒ぎしていただろう。
 私の今のぼんやり状態で聞かされて、ある意味良かったのかも知れない。

 理玖が部屋を出てから程なく母と果穂がやって来た。

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 少し舌足らずな喋り方の果穂。
 部屋に入って私の顔を見ると、パタパタと駆け寄って来る。
 その後ろから、母が心配そうに私の顔を覗き込む。

「熱中症だったみたいよ、顔、真っ赤だったし。まだ熱が下がってないみたいだって理玖くんが言ってたわ。
 とりあえず目が覚めたから、熱計ってみて」