トイレの外では、小学生らしき子達の声が聞こえる。 
 ドアをノックする音が数回聞こえたものの、内側からノックして、在室をアピールした。
 ずっと籠りっきりだと怪しまれるだろうか。

 ……いや、緊張でお腹の調子がおかしくなって、試験が終わると同時にトイレに駆け込んだと言い訳すればいいか。
 とりあえず、トイレの洗面所から声が聞こえなくなるまでは、ここから出ずに様子を窺ってみよう。

 リュックの中からスマホを取り出した。
 試験会場内では電源を落としていたけれど、電源を入れて何かメッセージを受信していないかを確認すると……。

 バナー通知で理玖からのメッセージが届いている事に気付いた。
 理玖からの通知だけは、切らずにそのままにしていたのだ。

 バナーで表示されていたメッセージは、一言『今、何処にいる?』。
 時間もつい先程だ。

 今ここで画面を開いてしまうと既読を付けてしまう。
 もし急ぎの用件でメッセージを送ってくれていたのなら、連絡があった時に再び現在地を聞かれた時に私は上手く誤魔化す自信がない。