求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
1 恋人と言えるのか?

翌日。いつもよりも十五分早く家を出た。

結衣の働く【連城設計】は国内最大手の建築設計事務所だ。

社内には一級建築士や構造設計など各種の有資格者が揃っている。事業内容は各種建物の開発、設計、建築。

結衣と遥人は建築デザイン部に所属し、遥人は一級建築士として、結衣はアシスタントとしての業務を行っている。

現在手掛けている一番大きな仕事は、半年前にスタートした横浜のホテル建設。会社としても力を入れていてかなりの人数が割り当てられている案件だ。

結衣も遥人もメンバーに入っており、おかげで遥人と会話をする機会が増えたのだった。

(そう言えば、才賀君とよく話すようになったのって、このプロジェクトが始まってからなだよね)

それまでは同期と言っても、それなりに距離感があった。遥人は結衣を「水島さん」と呼んでいた。プライベートな会話をした記憶もない。

それが変ったのは、同じ仕事をしている内に仲間意識が強まったから?
遥人の気持ちが、少しずつ変化していったのだろうか。


そんなことを考えながら、オフィスビル一階のセキュリティゲートを通り、十階にある建築デザイン本部へ向かう。

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