未明の三日月 ~その後
6

お風呂から出た美咲は、佳宏の隣に 腰を下ろす。

美咲の湯呑には、新しいお茶が 満たされていた。
 

「ありがとう。」

と言って、美咲は お茶を飲む。

佳宏は 照れた笑顔を 美咲に向けた。
 


この笑顔が大好きだと 美咲は 切なく思った。

佳宏は、いつも 美咲を見守ってくれた。


美咲が 不機嫌な態度をしても、一度も 嫌な顔をしないで。


どうして 気付かなかったのだろう。


この笑顔に 支えられていたことを。
 


甘く切ない瞳で佳宏を見つめる美咲。
 

「麻有子ちゃん、元気だった?」

佳宏は 優しく美咲に 話しかける。
 
「うん。麻有子、すごくきちんとしているの。家のこと、ちゃんとやっているし。」

美咲が答えると、
 

「美咲 刺激されて お料理 頑張ってくれたの?」

と佳宏は言う。
 
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