未明の三日月 ~その後
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初めての家族旅行は 好天に恵まれて、幸せな時間だった。

いつも 機嫌が良い詩帆は、車の中でも 飽きずに 箱根に到着する。


途中 お昼を食べて 少し芦ノ湖で遊んで 旅館に入った。
 

通された部屋は 離れになっていた。


もし 詩帆が泣いても まわりの部屋に 気を使わずにすむ。


広々とした和室を 詩帆は ご機嫌に歩き回る。


旅館の庭を 少し散歩して 三人で夕食を頂く。


豪華な和懐石に、
 

「美味しい。こんなご馳走食べるの 久しぶり。」


喜ぶ美咲を、佳宏は 嬉しそうに見つめる。
 
「これから 時々 旅行しようよ。詩帆ちゃん、もう大丈夫だから。」


子供連れにも優しい宿は、詩帆用の食事も 用意してくれた。
 

食事の後、佳宏と お風呂に入った詩帆は、早々に 眠ってしまう。
 

「美咲も、ゆっくり入っておいで。」

部屋に繋がった露天風呂。
 


「ありがとう。佳宏も もう一回入る?一緒に。」

美咲は そっと誘ってみる。
 

「いいの?」

と佳宏は 嬉しそうに微笑む。


美咲が頷くと 佳宏は美咲の後から 露天風呂に入ってきた。


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