魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜
2*ヴァンパイアのディナーはいかがですか?

「よし、できた!」


残暑が続く九月半ば。お客さんが誰一人としていない店内に、ケットの感嘆の声が響いていた。


「すっごーい!これがニコッター?僕らのレストランが載ってる!」

「そうよ。今、アカウントを立ち上げてみたの。ここにお店の宣伝や写真を載せて、ペルグレッド国内に発信しようと思って」


パソコンを覗き込み、目を輝かせるケット。

その画面には、《レクエルド》の店舗写真が堂々と写っている。

ニコッターとは、この異世界で利用されているSNSで、ブログや日記として活用できるサイトのことだ。プライベートのものから営業用のアカウントまで様々で、誰でも自由に使うことができる。

それは前世で登録していたSNSアプリと似たシステムで、誰かの投稿に対して“スマイルマーク”を押すと通知がいったり、“メガホンマーク”を押してあらゆる知り合いに拡散したりできるのだ。


「まだ始めたばかりだけど、ここからどんどん写真をあげて、色んな人の目に留まる工夫をしていこうと思うの。ケットは、人間界の文字が読めるのよね?」

「うん。ご主人様の代わりにドリルで勉強したんだ」

「それなら、ケットはこのアカウントを管理してくれる?いい写真が撮れるように私も頑張るから」

「わぁ、楽しそう!僕、宣伝がんばるね!」

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