仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


「おかえりなさい、陽愛ちゃん。帰ろうか。」

「お願いします……」


彼はエンジンをかけると、静かに出発させた。


「聞いちゃいけないかもしれないけど、陽愛ちゃんはご両親は? 俺、一応20歳過ぎてるから聞いとかないと……」


そりゃそうだよね、じゃなきゃ捕まっちゃう。


「……両親共、亡くなりました。父は幼い頃に事故で、母は、先日交通事故で。」


彼に伝えればハッと目を見開き、申し訳ない顔をする。悠介さんがそんな顔することないのに。


「……辛いこと話させてごめんな。ずっとあそこで暮らしていい。陽愛ちゃんの居場所だよ。」


居場所……か。


「あそこで住む奴らはいろいろ訳ありばかりだ。みんな何かを抱えてる。居場所を求めてる。あそこはあいつらにとって、簡易な居場所だよ……陽平もその一人。そして陽愛ちゃんのこれから先、居場所になったらいいな」



そう言うと、車が停まって外を見るとお屋敷に着いていた。







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