本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
高見沢さんは言ってる事はキツイけれど、根は優しいんだよなぁ。一颯さんとの関係はまだまだ認めては貰えそうにないけれど……。

「あ、居た!高見沢、ルームサービスの皿をひっくり返したと聞いたが大丈夫か?体調悪いなら業務を交代して貰うか?」

「前菜の皿、及びグラスを破損してしまいました。お客様にも御迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」

一颯さんが高見沢さんを探して、バトラーの待機室まで来た。高見沢さんが深々と頭を下げたら、一颯さんは「気にするな」と言って頭を撫でた。いつも完璧な高見沢さんでもミスをする事があるんだな。今日はロイヤルスイートの担当ではないので、高見沢さんの行動は把握していなかったりする。

「お客様も怒ってないし、逆に高見沢に怪我がないか心配されてた」

「大丈夫。この通り、元気だよ」

一颯さんは報告があった不手際について、客室のお客様に謝りに行って来た帰り際。高見沢さんも一颯さんの顔を見ると平常心に戻るらしく、笑顔が見られた。高見沢さんが再び口を開くとフランス語?で話し始めた。

「一颯君、この際だからはっきりしたいんだけど…、この子のどこが良いの?」

「………全部、愛してる。一生懸命なところも強がりなところも、可愛さが溢れているところも、ベッドの中では必死にしがみついてくるところも含めて全部、愛してる」

一颯さんはフランス語?で淡々と返していたけれど、高見沢さんは顔が赤くなった。

「一颯君、良くもまぁ…恥ずかしげもなく…そんな事が言えるね…」

「うん、日本語じゃないからね」

会話の内容は分からないが、話が丸く収まったのか、一颯さんはクスクスと笑っていて高見沢さんは根負けしたようで苦笑いをしていた。
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