「お前の見かけの幼稚さが軟派な奴らを引き寄せる。変わりたいなら明日の公休は空けておけ」

明日の公休…?

「明日は出勤ですよ?月曜日が公休ですが…」

「月曜日と交代した。篠宮と中里は私と一緒の公休にした方が面倒見れるから、そうした。とにかく、用事がなければ出かけるぞ。詳しい話は後だ、片付けに専念しろ」

自分の言いたい事だけを言い、私の側を離れた支配人。

片付けている音に紛れて、他の社員達には聞こえてないと思われるが…支配人はとんでもなく自己中心的な行動と共に特別だと勘違いをしそうな誘いをしてきた。

『変わりたいなら明日の公休は空けておけ』という言葉を思い出し、片付けが進まない。

片付けをしながら繰り返し、繰り返し、表情や仕草、声のトーンを思い出しては頬に火照りを感じて、目線は支配人を追ってしまう。

確かに私は化粧も下手くそで、26歳になった割には20歳そこそこに見られてしまい、大人の女性には程遠い。

足が疲れてしまう為にヒールの高いパンプスも履けないし、口紅もつけた事はなく、色つきのリップだけ。

黒髪が基本なホテルマンの髪色に地味なまとめ髪。

支配人から見たら私は子供過ぎて、恋愛対象外どころか、サービススタッフとしても認められていないのかもしれない。

クビにならない為にも、支配人好みのサービススタッフになれる様に折角のお誘いなんだし、お言葉に甘えよう。

本当は…そんな綺麗事の思いは建前で、心の奥底では素直に喜んでいる自分が存在する。

支配人に惹かれ始めている気持ちを否定しつつも、何かあるかも?なんて下心も持ち合わせていた私だった───……