エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
第四章 壊さないように、そっと愛して
よくわからない胸の痙攣は、それから頻繁に起こるようになった。

身体を動かした瞬間、トクトクトクと震え、一瞬で収まってしまう。

なんだろう? 不思議に思い胸に手を当てるけれど、特に痛いところもない。

胃のような気もするし、横隔膜のような気もするし、首と言われても納得してしまう。なんだかわからないけれど、ピクピクと震えるのだ。

たいして気にすることもなく、土曜日を迎えた。

透佳くんと約束していた診察の日だ。

私はひとり、須皇総合病院の心臓血管センターの外来に向かった。

透佳くんは基本的に、外来には出ないという。しかし、この日は外来に乗り込んできて、本来担当だったはずの医師を押しのけ、私の診察を無理やり取り行った。

「とりあえず血液検査と心電図。それから、ホルター心電計を装着してくれ。取り外しは、明日俺がやる」

診察椅子に腰かけ、テキパキと指示を飛ばす透佳くん。
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