みずあめびより
「明日、何しましょうか?」

「あっ、今日は一日家にいたし、出掛けようか?雑貨屋巡りして、宇宙展行くのはどう?」

「そうですね。天気も良さそうだし。」

「・・・。」

───びっくりした・・・明日の話か。でももし、するかしないかどうするか聞かれてたら俺、確実に『しよう。』って言ってたよな・・・。

「・・・手、繋いでもいいですか?」

衣緒は思いきって言ってみた。

───もし、葉吉さんがそうしたいのならそうなっても・・・。だから、これは私なりの『いいです。』って意味で・・・。

「!!!」

───いやいや、触れたらまずいって・・・。あ、これは今日は手繋いで隣で寝るまでならOKっていうサインか?

「・・・。」

───葉吉さん、何も言ってくれない。手繋ぐの駄目なのかな?引いちゃってる?

「手はちょっと・・・。」

鈴太郎は苦しげな声で言った。

「ご、ごめんなさい!」

───恥ずかしい!葉吉さんはそんなつもりないよね。
昨日マットレスだったから今日はベッドで寝たいけど、私を追い出すのも忍びないから一緒に・・・ってだけだよね。

衣緒は途端に恥ずかしくなり彼に背を向けて壁の方を向く。

「手が嫌なわけじゃなくて・・・。」

───どうせ触れるのなら・・・もっと。

鈴太郎は心を決めて彼女を後ろから強く抱きしめた。
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