最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
「私……もう、何も考えられない」


島田さんはそう言って、泣きながら部屋を飛び出していった。


女性を泣かせるのは本意ではないが、仕方ないと思った。


一花への攻撃が、これ以上続かないことを俺はせつに願う。


そして……


島田さんにも、フロントとして、「グレースホテル東京」を盛り立てていってもらいたいと本気で思っている。


今、ここで一緒に働く従業員は、俺にとって全て大事な人達だから。


総支配人として、1人も残らず、みんなに成長してもらいたい、輝いてもらいたいと……心から願っている。


人は失敗しても、挫折しても、何度でも立ち上がれるし、変わることができる。


1番悲しいのは、抜け出す努力をせずに、周りのせいばかりにして諦めたり逃げたりすることだ。


島田さんには、本来の自分に早く戻ってもらいたい。


でも……


ある意味、俺は、彼女のおかげで一花にちゃんとプロポーズする決心ができた。


やっと、1歩前に進むことができる――


そのことには、正直、感謝した。
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