バイオレット・ダークルーラー
選択
…何かが変わると思った。
放送室に足を踏み入れることで。そこで御堂くんに会うことで。
出口のない感情を持ち続ける中に、新しい何かが見えてくると思ったのだ。
(…放送室なんて、縁のない場所だと思ってた)
放課後。
ペアワークの終了間際、16時ごろに来るといいよと言った御堂くん。
…わたしは彼に忠実なしもべのように、16時ぴったりに放送室に辿り着いた。
ひとけは全くない。教室からここに来るまで誰にも会ってない。
…御堂くんって本当に何者なんだろう。予言者か何かか。すごすぎる。
(…緊張したってしょうがない)
…今まで、好奇心さえも押し殺して生きてきた。
やりたいと思った習い事。知りたいと思ったこと。勝手に諦めて、可能性を探ることすらしてこなかった。
変わりたい。
紫月さんに救ってもらった命、まっすぐに思うままに、生きてみたい。
――…コンコンコン
「どうぞ」
この一歩が、きっと…。