バイオレット・ダークルーラー
再会
2日後、19時。
『まもなく、麗蘭街――…、麗蘭街に停まります――…。
――…ご降車のお客様で未成年の方は、日付が変わる前のご帰宅をお勧めしております――…』
あの日、紫月さんと出会った日以来の麗蘭街に、わたしは1人で降り立つ。
変わらないアナウンス。自分以外に興味もなく見向きもしない人々。そして、ブラックシティ。
麗蘭街に馴染みたいなら、自分で自分の立場を考えていかなければならない。
…久米ちゃんの言葉を実感する。このために髪を巻いて、いつもとテイストの違うお化粧をして、ネイルもして。
「…きれい」
夜空を見上げると、瞬く星の中心で映える月が在る。
さすがに今日は普通の黄色だ。…でも御堂くんの言った通り、あのお店の窓から見たらすみれ色に見えるのかな。
だとしたら、嬉しいな。大好きなお母さんを感じられる気がする。
(…あ、)
お店に向かう途中、どうしたって高層ビルに目がいく。
摩天楼の頂。…どうやら今日は、灯りが点いていないようだ。
紫月さん。
…彼はいま、何処にいるのだろう。